2014年4月14日

2013年の新薬承認を振り返る

少し前の記事ですが、2013年に米国FDAが承認した新規分子化合物(NME)についてのまとめ記事がNEJMに掲載されていました。

27のNMEリストはこちら。
FDA New Molecular Entity Approvals 2013

元となったFDA発行の冊子はこちら。
2013 Novel New Drugs Summary

まずはリストを見ながらFDAの冊子を読んでみましょう。
2013年は、FDAの医薬品評価研究センターが27新規分子化合物として新薬をを承認しました。この27という数字は過去10年の平均的な数字だそう。

27のNMEの特徴をFDAが分析しています。まず全体の1/3にあたる9つの薬が”First-in-Class”(画期的新薬、いわゆるピカ新)であること。新規性・独自性が高いこのクラスが全体の1/3を占めているということは、画期的な新医薬品開発が行われたと考えてよいでしょう。
さらに1/3は希少疾患のための医薬品でした。
他にも進行(転移性)非小細胞肺癌にGilotrif(アファチニブ)、転移性メラノーマ患者に対する治療法としてTafinlar、多発性硬化症にTecfidera、慢性C型肝炎にOlysioを承認するなども注目に値します。

そしてライターとして気になる承認スピードについても言及がありました。
この2013年の新薬承認にあたり、CDERが申請から承認されるまでの期間を数ヶ月とする迅速審査を採用した新薬もありました。このFDAの迅速審査には優先承認審査(37%)、画期的治療薬(11%), 優先審査(37%)および迅速承認(7%)の4種類があります。2013年は48%がこの4つを組み合わせてより迅速な開発と承認審査を目指していました。
また申請した27の化合物のうち24(89%)が照会なく承認されているのも驚きです。

こうやって読んでみると、画期的な新しい治療法をもたらす新薬の開発と希少疾患の薬が短期間で承認される一方で、非小細胞肺癌への新しい治療薬が承認されています。バランスのとれた状況なのかなと思います。

この承認された新薬には、経済的な投資対象もあります。
NY TimesのBillionaires with Big Ideas Are Privatizingという記事によると、最近は政府の科学研究予算がカットされたことで失業した科学者や頓挫しているプロジェクトに対し、裕福な個人が新薬開発や革新的な科学技術の開発にパトロンとして投資するようになっているとか。ビル・ゲイツのHIVやマラリアに対する投資などが有名ですよね。

NEJMでも、この2013年の新薬開発状況を受けた考察がこちらの記事でなされていました。

Perspective
The Calculus of Cures
Robert Kocher, M.D., and Bryan Roberts, Ph.D.
February 26, 2014

医薬品が投資対象として最もうまみがあるのは、開発費と販促費が低く、既存の治療薬と大きく異なる点があり、対象となる疾患の発現率と有病率が高いものだとか。患者数の多い糖尿病薬などが投資対象としては魅力がないというのも驚きでした。

さて、2014年はどのような結果になるのでしょうか。
翻訳やライティングという仕事を通して新しい薬を少しでも早く必要な患者さんの手元に届けるお手伝いができたらいいなと思います。

2014年4月3日

『医学・薬学の翻訳・通訳完全ガイドブック』2014年春発売にインタビュー記事が掲載されました!

イカロス出版から今春発売となりました『医学・薬学の翻訳・通訳完全ガイドブック』にインタビュー記事が掲載されましたー!



同じ号には医療機器のお仕事の始め方について、猫先生こと青山万里子さんの記事も掲載されていますので、合わせてどうぞお楽しみくださいね!(猫先生と同じ本に載るなんて嬉しい!)

私は社内翻訳者として最初の一歩を踏み出すのですが、そこでご縁をいただいた元上司に本日お会いし、お世話になったお礼とこれからもよろしくお願いしますの気持ちを込めて、この雑誌をプレゼントしてきました。まず最初に元上司に報告し、それからこちらで告知しよう・・・と密かに思っていたので無事に手渡しできてほっとしました!

私は翻訳未経験で学習経験もない状態で社内翻訳者として採用してもらっているんですが、私の英語力やら翻訳力(トライアルがありました)が評価されて・・・と言いたいところなんですけど、実は全然違う要因が!

「利酒師なら宴会が楽しそう」・・・。
履歴書の資格欄が寂しかったので書いておいた「利酒師」の文字が上司の目にとまり、採用に結びついたんです。あ、一応申し上げておきますと、他にも候補者はたくさんいました(笑)。

本誌では「強運にも」という表現でまとめていただいていますし、間違いなく超絶ラッキーだったんですが、上司はそんな懐の深い方なんです。こんなステキなご縁がなければ今の私はいないのかと思うと、感謝の言葉以外、出てきません。

こういうことがあるから、これから翻訳者を目指す人に「利酒師になれ」とはオススメしませんが、人生何が自分を助けてくれるのかわからないなと思います。これから医薬に限らず翻訳でも何でも、何か新しいことを目指す方は、ぜひこれまでの自分をフルに活かしてがんばっていきましょう~~!私も自分の過去に誇れることはあんまりありませんが、変えられるもんでもないし、これからもこの調子でがんばります!

最後に自分を振り返るよい機会を与えてくださったイカロス出版の編集部の皆様に感謝申し上げます。

また昨年のJTF翻訳祭にパネリストとして声をかけてくださった齊藤貴昭さんに御礼を申し上げます。ひとりだけわがままを言って持ち時間を多くいただいたおかげもあって、今回の取材につながりました。ご一緒した小林晋也さん、長尾龍介さんもありがとうございました(もう何度もお礼書いてますねー。それほどお世話になっている、ということで)