2014年10月5日

厚生労働省が「医療通訳テキスト」と「外国人向け多言語説明資料」を発表。無料でダウンロードできます

今回は、医薬翻訳ではなく医療通訳の話題をお届けします。

在留外国人や外国人観光客が増え、日本の医療を受ける機会も増加していること、そして2020年の東京オリンピックを見据えて、厚労省が外国人患者の受け入れ環境整備を『医療機関における外国人患者受入れ環境整備事業』として推進しています。

その一環として、医療通訳者の育成にも力が注がれているのは新聞や通訳・翻訳雑誌でも特集が組まれるなどしていますので、ご存じの方も多いかと思います。
そしてついに、平成25年度補助金事業として、医療通訳育成カリキュラム・テキストの作成が行われ、先日、厚労省のサイトから無料でダウンロードができるようになりました!

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056944.html

このテキストは、医療に関する一定のレベル以上の知識および通訳技術を修得し、医療通訳者として機能する専門職を育成するために行うべき研修や指導要領等についてまとめてあり、全部で570ページもある大作。テキストの編纂を担当した多文化共生センターきょうとでは、12月にこのテキストを基にした講習会を東京で開催する予定があるそうです(詳細は未発表)。

育成カリキュラムの中身を見てみましょう。
まず研修の受講資格は原則20歳以上。対象言語において高度な会話や議論ができること。母語や対象言語の国や地域における習慣、社会常識を理解していることなどが挙げられています。

医療通訳に必要な知識、能力とスキル、倫理、対応力を身につけるための研修(「医療通訳研修Ⅰ」、「医療通訳研修Ⅱ」)を行うのですが、具体的には、1クラス90分のクラスを50クラス以上の研修時間が必要(うち通訳実技は最低8クラス以上)。クラスも少人数(10名程度)と規定されています。この研修後にさらに実習(医療機関等での通訳実務)を25クラス以上(この内病院内の実習は20クラスほど)が義務づけられています。

研修を修了するためには、9割以上の出席と課題提出などの他に能力試験に合格する必要があります。この能力試験は「医療通訳に必要な知識、能力とスキル、倫理についての理
解度、習得度を測るために口頭、あるいは筆記、模擬通訳を通じて評価する」と書いてあるので、実技試験もきっとあるんですね。

そして通訳経験者に対する能力審査(バリデーション)というのもあり、2年以内に40時間程度の通訳実務経験があり、この育成カリキュラムの研修内容と同等レベルの研修を受けている人を対象にしています。十分知識、能力等が備わっているとみなされると、研修が一部免除されますが、経験や能力に関係なく受講しなくてはならない「医療通訳者の役割」といった単元もあるそうです。

研修のモデルプランでは、研修を75時間、実習を37.5時間の合わせて112.5時間を試算していますね。この時間をかけて学ぶべき事項がテキストにまとめてあるのか・・と思うと、570ページの大作も納得できますねー。

さて、続いてテキストの中身を覗いてみましょう。
まず巻頭に「人体各器官名称」があり、解剖イラストに日本語(かなふり)で名称が記載されています。これは翻訳でも使えそうですね。
人体各器官名称の一部。対訳ではないですが必要最低限を押さえられて読みやすいですね

そして本題に入り、医療通訳者の役割、倫理から身体の仕組み、検査、薬、感染症の基礎知識などの医学知識、さらに日本の医療制度や文化的背景、そして通訳技術についても書かれています。最後には実習に役立つロールプレイング用の模擬通訳シナリオもあって、机上の理論から実践まで幅広くカバー。

医学的な知識といっても、MRIとは何かなど本当に簡単にまとめてあるだけなので、医薬翻訳者の実務ではあまり役に立たないかもしれませんが、初学者の学習用や患者さん向けの翻訳などで参考になるかもしれませんね。

ざーっと読んでみたところ、とても簡単な日本語でまとまっているので、医療通訳を目指すなら、このテキストを自分で訳してみる、というのも自習の仕方としていいんじゃないかなって思いました。


この医療通訳テキストと一緒に、「外国人向け多言語説明資料」もダウンロードできます。これは外国人患者に対応するときに必要となる、問診票、説明文書、コミュニケーションツールなどの文書が日本語と複数言語で対訳になっているもの。

これは翻訳する時にも活用できそうですよね。1枚で日英併記になっている文書と、日本語版、外国語版とわかれているものと両方あります。

日英併記の問診票と感染予防の啓蒙リーフレットの英語版



医療通訳の育成研修はこれから各地で始まるのでしょうか。
地方の医療通訳不足の声も聞こえてきますし、できたらWebでの研修など多くの人がアクセスできる環境の整備も期待したいですね!

2014年9月30日

情報誌『Amelia』10月号 新薬開発特集にちょこっと登場しています!

お知らせです!

翻訳者ネットワーク「アメリア」さんの情報誌『Amelia』10月号の“スポット分析 新薬開発”という特集に少しだけ登場いたしました!
モザイクかけました。 自分の名前を囲むのはちょっと恥ずかしいですね・・・

この新薬開発特集では、まず冒頭で全体の流れを押さえ、その過程に発生する翻訳が求められる文書の簡単な解説があり、全体像がつかみやすい構成になっています。

私はそれぞれの文書の特徴を実務レベルで感じたことをお話させていただきました。案件によっても、翻訳者さんによっても、感じ方は違うかなと思いますが、ご参考になればと思います。

他にもアメリア会員さんのメディカル翻訳者デビューまでの道のりが書かれていたり、エージェントさんのお話も掲載されています。

会員限定の情報誌なのでリンクは貼れませんが、アメリア会員の方はよろしければチェックしてみてくださいね!

2014年9月20日

(訂正)AutoHotKeyの人気にようやく乗ってみました!(既存スクリプトの導入方法編)

私のPCリテラシーはかなり低く、一応IT企業に勤めていた経験もあるのですが、
いつまでも「PCの中にはこびとさんが住んでいて、お願いするとあれやこれややってくれる」という概念から抜け出せません。

そのこびとさんの中でも、昨今話題の「AutoHotKey」は、OSに軸足があって、フットワークが軽いっと驚きました。自分の理解定着も狙いつつ、荒いまとめをしてみます。

そもそも「AutoHotKey」って何なの?みたいな難しい話しはできないので、どうぞしんハムさん(@SHINHAM3)のTRA Caféさんの特集記事をお読みください。ほほーとなりました。
AutoHotKeyについて
AutoHotKeyを正しく理解するために


※訂正 
以下のステップ1,2について、AHKを使って書かれたプログラムじゃないというご指摘がありまして、調査しましたところ、かんざしは私の思い違いであり、Cliborについても間違いが濃厚・・ということで、申し訳ございません。それぞれのプログラムは便利ですよ、というリンクだけ本文末尾に残し、その他の情報は削除させていただきます。ご迷惑をおかけします。



さて、ステップ3として、自作もしくはどなたかが作ってくださったスクリプトを導入する方法について、以下にまとめますね。あったらいいながある!の世界へ突入です。

1)まずはAutoHotKeyをダウンロード
プログラムを書くための環境をダウンロードします。
ここから
インストーラーを起動してインストール



2)デスクトップ上で右クリックをして、[新規作成]→[AutoHotKey Script]を選択。

これで、スクリプトを書くファイルアイコンがデスクトップ上で作成されます。エディタで開くと書き込めるようになります。

お料理番組形式で、このプログラムを書く部分は割愛です。いただいたスクリプトをコピペして保存するか、拡張子.ahk形式でファイルをいただいた場合は、そのファイルを元に次の手順を続けます。

コピペしたスクリプトを保存する場合は、文字コードを UTF-8 と指定することに注意


3)できあがったテキストをコンパイルします。
アイコンを右クリックしてメニューから[Compile Script]を選択。
コンパイルすると、いわゆる実行ファイルになるので、AutoHotKeyがインストールされていないマシンでも動けるようになるらしいです。詳しいことはこちらのページに。


新規に拡張子.exeのアイコンがデスクトップ上に作成されますので、これをクリックするとプログラムが走ることになります。


あとは自分が設定した操作方法で思いのままに操ってください!



いかがでしょうか?
なんだかAutoHotKeyの波に乗り遅れた・・・とか、
せっかくみなさんが好意で公開してくれているスクリプトをどうやって自分のマシンに搭載したらいいんだろうか・・とか
もやもやしている方、設定はすごく簡単なので、ぜひトライしてみてくださいね!

・・・という私も、今朝、どうしても取り入れたいスクリプトを発見し、作成者の方に質問しながらようやく設定できるようになりました。私にもできた!といううれしさに浸っております・・・


ステップ1:「かんざし」/ステップ2:「Clibor」の導入

2014年8月11日

18/30冊『私とは何か――「個人」から「分人」へ』平野 啓一郎著 読了

2年前にスタートした読書プロジェクトも全然アップできていない・・・ことに我ながら衝撃を受けております。読んだらすぐまとめないとダメですね。

さて、今日は平野啓一郎氏の『とは何か――「個人」から「分人」へ』を読んだのでその感想を書いてみます。



平野氏はデビュー作『日蝕』を京都大学在学中に執筆し、当時最年少の23歳で芥川賞を受賞し、「茶髪にピアス」という風貌でも注目を集めました。プロフィールの詳細はWikiに譲ることにしましょう。

実は、この本が発売された当時、面白そうだなと思って一度手にしていましたが、どうも途中でしっくりこなくなり、そのまま本棚の肥やしとなっていました。それをもう一度この本を読むことにしたのは、Cakesの連載、プロフェッショナルの本棚に記載された平野氏のインタビューを読んだからです。ちょっと前のTEDの講演でも、この分人の話しをしていたのが印象に残っていました。

平野氏は「分人」という概念をある日思いついた訳ではなく、作品の執筆を通して考え、表現しようとしてきたといいます。この本の前半は「分人」という概念を身近な例示を通して説明し、徐々に平野氏自身の作品ではどのように扱ったのかという視点が加わり、読み物として一気に面白くなってきます。実は最初に読んであんまり面白くない・・・と思ったのは、前半の例示の部分で、「確かにそういうことはよくあるけどね・・・だからといってさ・・・」みたいなしらけた気持ちになってしまったから。導入部分を耐えると後半はぐんと面白くなりますよ。

分人について、先にご紹介したCakesのインタビューで、平野氏は以下のように解説しています。
「分人」とは、対人関係ごとに見せる複数の顔をすべて「本当の自分」ととらえて、たったひとつの「本当の自分」がいるという固定観念から離れよう、という考え方です。人間は分割できない「個人individual」ではなく、分割可能な「分人dividual」だとする思想です。「個人」という僕達がずっと信じてきた概念自体が、近代の産物なんですよ。
人だけでなく、小説、音楽、詩、絵画など、自分と対峙するもの全てに分人を持つことができると考えると、ひとりの人間の中に多数の分人を抱えることになります。そのバランス・構成によってその人が特徴づけられるわけです。これが「私」である、という考え方ですね。10年前の自分と今の自分が違うのは、新しい出会いや別れによって分人が変わっているからだと言えます。
平野氏は、そしてこの分人が他者(人・モノ)との相互作用によって生じるものであるから、例えば「この人と会うとブルーになる・・」というネガティブな感情を抱く自分(分人)の半分は相手のせいだと言います。その逆もまた真なりで、ポジティブな感情を抱くことも相手のおかげだと考えれば素直に感謝する気持ちも生まれてきますよね。このように個別の分人をどのように持つか。ポジティブな分人ばかり持てる人は幸せなのかなと思うし、たった一つのネガティブな分人がとてつもなく大きな割合を占めていれば、それだけで毎日気が重い・・・ということにもなります。

さらに、この対象となる相手も、ひとつの個で構成されているわけではなく、複数の分人から成り立っているわけです。なので、「どうして私の大好きな人は、私が嫌いなあの人と仲良しなんだろう」といった疑問も相手の分人の問題なので、こちらからはどうすることもできません。こちらがフォーカスしなければならないのは、自分と向き合っている相手の分人だけになるのです。

私がこの本を読んで共感したのは、この分人というのは、自分と対象(相手)で50/50で責任を持ち合っているという視点と、相手が持っている自分以外との分人は立ち入ることができない、という点です。人間関係で意見が合わなくなったり、けんかになったりすると自分が至らないからなのかと落ち込んだりしますが、それは二人で感情や思考を共有しているから生じることであって、どちらか一方のせいではないということ。逆に共有できない人とは分人の割合が減ってくるのは自然なことなのかと思うと、複雑で悩ましいと感じる人間関係もすっきりとしてきました。
もう1点は、好きな人、つまり私の中で分人の割合が高い人が困っていたり、他の人との人間関係で悩んでいたりすると、つい口出したくなるのですが、それは余計な立ち入りなんだなと自戒できるようになりました。おせっかいしがちな私にはよい指針となりそうです。

ネットの世界、特にSNSについてももう少し考えてみました。
ネットの世界では、この分人という概念が形成しやすく、また形を変えやすいのではないでしょうか。私は以前よりSNSはもはや生活の一部というか、脳みそがはみ出していると考えているので、SNSだけのつきあいであったとしても、分人の比率が高くなる、つまりその人を大切な人だと認識するのはちっとも不自然ではないと感じています。リアルな世界で世間話をするような感覚で、TwitterでRTしたりふぁぼったりして最初に接触しますよね。その後、リプを飛ばしたり、DMやFacebookのメッセージなどを使って、もう一歩近い関係になります。こうしたSNSでの活動を通して、自分の中で相手への分人の比率を高めていくことも簡単にできるのではないでしょうか。
しかし同時に、SNSではこうして高めた分人の比率が、あっという間にゼロになることがあります。それはアンフォローやブロックといったSNS界独自のしくみによって簡単に「なかったこと」にできるからです。盛り上がるのも早ければ、冷めるのも早い、まるで恋愛のようですが、リアルな人間関係以上にはっきりと目に見える形で、その人のための分人が消滅するのです。本来、分人というのは責任が50/50であるはずなのに、SNSではどちらかが一方的に断ち切ることができます。互いに感情や思考を共有していたと思っていた関係がばっさりと切られる、それは言うならば「お前とは終わりにしたい」と恋人から突然別れを告げられる状態にも近いのかもしれません。恋人との関係は、もしかしたらその予兆があるかもしれませんが、SNSの場合は時として本当に突然やってくるため、リアルの関係以上に戸惑いが大きいのかなと思います。既読スルーとか、ささいなようですが、リアルにはない分断感に苦しめられる人がいるのも理解できる気がします。

リアルな人間関係であってもSNSの世界であっても、分人という考え方を使えば、その構成を変えるということで、必要以上に傷つく必要はなくなります。また、新たに興味をもったことに分人を追加していけば、自分の可能性は無限に広がるのかなと思います。これだけを書くと、私の説明だけではまるで一人の中に複数の人格があり、人間関係がどんどん希薄になっていくような印象を与えるかもしれません。しかし本書の最後に平野氏は、分人が果たすもっと大きな役割を示唆します。それぞれの分人が所属するコミュニティ間(個人間でも同じですが)に分断や不和がある場合、異なるコミュニティを大きな価値観の枠でくくろうとせずに、ひとりひとりの分人が融合することで対立を融和できる可能性を記しています。コミュニティの中で分人の、人々の小さな結びつきによって融和を図れるのではないかと。「大好きな人間の中にも、大嫌いの人間の何かしらが紛れこんでいる。そこに、私たちの新しい歩み寄りの可能性があるのではないだろうか。」と記して本書の結びとなっているのが印象的でした。
本書を読んでみて、分人という考えは、自分の個性を形成するだけでなく、その向こうにはもっと大きな枠の中でも活きる可能性があるように感じました。先にも書いたようにSNSとの親和性も高いと思いますし、これまでの「個人と社会」といった概念の次にあるとらえ方なのかなと。そして本当にこの「分人」という考え方を理解するには、やっぱり平野氏の他の著書も読んでみるしかないようです。本書は分人という概念の解説書であると同時に、小説を読むきっかけとなるガイド本のような位置づけでもあるなと思いました。


2014年8月2日

カッツング薬理学 エッセンシャル がわかりやすい!

薬理学の本はコメディカル用に書かれた入門編を数冊と超ダイジェストにまとまっている「一目で分かる薬理学」を手元に置きつつ、ネット検索でなんとかしてきました。その場でさっと確認するにはこれで十分だったのですが、物足りなくなってきたので「カッツングの薬理学」を買ってみました。




これがヒット!
2012年に発売されてそこそこ新しく、英語版の第9版(2010年)の翻訳です。
最初は英語版も購入して併読してもいいかなと思っていたのですが、日本語版にもキーワードとなる用語には英語が併記されているので見送りました。索引も日英の両方から引けるので、訳語をサクっと見つけたい時も便利かもしれません。

まずPart Iとして基本原理が解説されています。用語の定義も表でなされていたり、ざっと読み飛ばすこともできますし、本文までしっかり読めば、英語で用語も確認でき、理解が深まると思います。
Part II以降は、自律神経系薬、循環器系薬、平滑筋作用薬などの分類で解説が続き、化学療法薬、毒科学と続きます。巻末の付録には頻出する薬物の特性がリスト化されているのも便利。薬理学の基礎的な部分と臨床で実際に使える知識の両方をバランスよく網羅していると思います。

各章の冒頭に、まずその章で扱う薬の大まかな分類がチャート化されていて、特定の薬剤について調べたい場合に、全体の中でどの部分にあたるのか、またその特徴を視覚的に把握できます。
みなさんにもご経験があるかと思いますが、文字だけで「この薬はこういう特徴があって・・・作用は・・・副作用は・・・」と読んでいると、細かい点は分かってきますが、「で、要するにどういうこと?」というのがわからなくなったりしますよね。特に今まで調べたことのないジャンルのお薬で、いきなりネットにあたると「意味がわからない・・・」ということが私は起こりがちなので、まずざっくり全体を押さえてから本文の詳解に入れるこのスタイルはいいなと思いました。

薬理学の試験対策の教科書らしく、各章の末に四択の問題が掲載されています。最初はこの問題は要らないから解説増やして・・・と思ったいたのですが、実際の薬剤使用でポイントになりそうな点から問題が作成されているため、問題の答えを確認すると理解が深まる・・・という作りになっています。
まぁ教科書なので、当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、長いこと学生を離れているせいか、「おぉぉぉ、わかる!わかるよ!」と感動してしまいました。問題に対する回答にも答えだけでなく解説も載っているし、至れり尽くせりです。

ただし600ページぐらいあるので、全部を通読する、というより、今自分に関係のある章をつまみ食いする・・・という使い方が現実的かと思います。
本文もカラーで紙質もよく、図表もあります。いきなり入門編として使うには、難しいかもしれませんが、なんとなく薬理学になじんできてから使うとわかりやすいかなと思います。

お値段が高い・・・というのがネックではありますが、十分元が取れるんじゃないかと思います。私が必要としている程度の薬理学の知識であればこの1冊で十分だと感じています。



2014年7月29日

西村多寿子先生&森口理恵先生のホームページ

★西村多寿子先生
駆け出しのころから愛読しているブログのひとつに「器用貧乏なメディカルライターの備忘録」があります。その管理人でいらっしゃる西村多寿子先生のホームページが更新されました。

西村多寿子のホームページ

西村先生は、フェローの講師をなさったり、医療関連の英語教育に取り組んでいらっしゃる先生で、少し前はアメリアの定例トライアルの出題者をなさっていたので、ご存じの方も多いと思います。 
※他の翻訳者さんから「トライアルの出題はないのでは?」というご指摘をいただきました。お詫びして削除します。何かの講評を拝見して「わかりやすい」と思ったのは間違いないのですが、定例トライアルではなかったのかも・・・と自信が揺らいでしまいました・・・。大変失礼いたしました。

私は直接講義を受けたこともありませんし、お会いしたこともないのですが、定例トライアルの講評を読んで「あぁわかりやすいなー」とファンになりました。他にもMediEigoで執筆されているのを愛読していましたし、いつか講義を受けてみたいあこがれの先生です。

ホームページが更新され、今まで日経メディカルの医師会員限定用に執筆されていたコンテンツも一般でも閲覧可能になったようです。嬉しい!夏休みの間にじっくり勉強できる!

詳細は<医学論文の読解・作成>を確認してくださいね。
他にもお宝情報がたくさんあります!

★森口理恵先生
もうひとつご紹介です。
医薬翻訳を目指すのであれば、まず手に取る書籍・・・と言っても過言じゃないと思います。
まずはこれから!医薬翻訳者のための英語』の著作でおなじみの森口理恵先生のホームページをご紹介。

R&Aメディカル

森口先生も過去に執筆された記事を公開してくださっています。
日本翻訳ジャーナルで連載されいている『誌上トライアル』をまとめて読むことができます。

連載記事
第22回~ から掲載されています。(その前は電子化されていなかったのかな?と推測)

他にも仕事環境の向上に熱心な先生の工夫を公開してくださる「仕事の道具とコツ」というページもオススメです。



こうやって先生方がこれまで書かれたものや、仕事のコツ、心構えなどを惜しげも無く公開してくださるってすごいことだなと思います。本当にありがたいです。

なかなか翻訳が上手くならないとか、ミスってしまったとか、凹んだ・・・とか言ってないで、勉強する環境がこれまで以上に整っているのだから、あとはやるだけ・・・ですよね!
質の高い記事が公開され、海外の大学のオンライン講座なども受講可能になっているわけで、勉強する機会は広がっています。あとはやるかやらないか、自分にかかってきてるんだな・・・と思いました。がんばろっ


2014年5月5日

日本医学会用語辞典が一般公開されました

数日前にTwitterで知ったのですが、日本医学会の医学用語辞典が無料で一般公開されました。
ユーザー登録が必要ですが、簡単な手続きですぐに使用開始できます。


日本医学会 医学用語辞典

試しに使ってみたのですが、「腫瘍」と日本語で引くと、「腫瘍」が含まれる用語全てがラインナップされます。「2胚葉性混合腫瘍」からはじまって、「鼻腫瘍」まで471個ヒットしていますね。

リストの中から自分の知りたい言葉をクリックすると、英語が表示されるのですが、
複数の表現が提示されるところが親切だなと思いました。
先の例で、「2胚葉性混合腫瘍」であれば、”bigerminal mixed tumor” という一語しか表示されないのですが、「子宮頚腫瘍」だと、日本語も「子宮頸部腫瘍」と「子宮頚腫瘍」と2種類表示され、代表語は「子宮頸部腫瘍」であると表示されています。
もまた、uterine cervical neoplasm、cervix uteri neoplasm、cervix neoplasmの三種類が提示されていて、cervix uteri neoplasm、cervix neoplasmが代表語であることもわかります。

スクリーンはこんな感じです。


訳語を決める時に、「複数の言い方が使われているみたいだけど、どれが一般的なのかな」と悩むことがありますが、判断基準の一つに取り入れてもいいかもしれませんね。

今まで1.5万円で販売されていた辞書の無料化。
この流れに乗って、他の学会もどんどん用語集を無料で公開してもらえたらなぁと思います。

2014年4月14日

2013年の新薬承認を振り返る

少し前の記事ですが、2013年に米国FDAが承認した新規分子化合物(NME)についてのまとめ記事がNEJMに掲載されていました。

27のNMEリストはこちら。
FDA New Molecular Entity Approvals 2013

元となったFDA発行の冊子はこちら。
2013 Novel New Drugs Summary

まずはリストを見ながらFDAの冊子を読んでみましょう。
2013年は、FDAの医薬品評価研究センターが27新規分子化合物として新薬をを承認しました。この27という数字は過去10年の平均的な数字だそう。

27のNMEの特徴をFDAが分析しています。まず全体の1/3にあたる9つの薬が”First-in-Class”(画期的新薬、いわゆるピカ新)であること。新規性・独自性が高いこのクラスが全体の1/3を占めているということは、画期的な新医薬品開発が行われたと考えてよいでしょう。
さらに1/3は希少疾患のための医薬品でした。
他にも進行(転移性)非小細胞肺癌にGilotrif(アファチニブ)、転移性メラノーマ患者に対する治療法としてTafinlar、多発性硬化症にTecfidera、慢性C型肝炎にOlysioを承認するなども注目に値します。

そしてライターとして気になる承認スピードについても言及がありました。
この2013年の新薬承認にあたり、CDERが申請から承認されるまでの期間を数ヶ月とする迅速審査を採用した新薬もありました。このFDAの迅速審査には優先承認審査(37%)、画期的治療薬(11%), 優先審査(37%)および迅速承認(7%)の4種類があります。2013年は48%がこの4つを組み合わせてより迅速な開発と承認審査を目指していました。
また申請した27の化合物のうち24(89%)が照会なく承認されているのも驚きです。

こうやって読んでみると、画期的な新しい治療法をもたらす新薬の開発と希少疾患の薬が短期間で承認される一方で、非小細胞肺癌への新しい治療薬が承認されています。バランスのとれた状況なのかなと思います。

この承認された新薬には、経済的な投資対象もあります。
NY TimesのBillionaires with Big Ideas Are Privatizingという記事によると、最近は政府の科学研究予算がカットされたことで失業した科学者や頓挫しているプロジェクトに対し、裕福な個人が新薬開発や革新的な科学技術の開発にパトロンとして投資するようになっているとか。ビル・ゲイツのHIVやマラリアに対する投資などが有名ですよね。

NEJMでも、この2013年の新薬開発状況を受けた考察がこちらの記事でなされていました。

Perspective
The Calculus of Cures
Robert Kocher, M.D., and Bryan Roberts, Ph.D.
February 26, 2014

医薬品が投資対象として最もうまみがあるのは、開発費と販促費が低く、既存の治療薬と大きく異なる点があり、対象となる疾患の発現率と有病率が高いものだとか。患者数の多い糖尿病薬などが投資対象としては魅力がないというのも驚きでした。

さて、2014年はどのような結果になるのでしょうか。
翻訳やライティングという仕事を通して新しい薬を少しでも早く必要な患者さんの手元に届けるお手伝いができたらいいなと思います。

2014年4月3日

『医学・薬学の翻訳・通訳完全ガイドブック』2014年春発売にインタビュー記事が掲載されました!

イカロス出版から今春発売となりました『医学・薬学の翻訳・通訳完全ガイドブック』にインタビュー記事が掲載されましたー!



同じ号には医療機器のお仕事の始め方について、猫先生こと青山万里子さんの記事も掲載されていますので、合わせてどうぞお楽しみくださいね!(猫先生と同じ本に載るなんて嬉しい!)

私は社内翻訳者として最初の一歩を踏み出すのですが、そこでご縁をいただいた元上司に本日お会いし、お世話になったお礼とこれからもよろしくお願いしますの気持ちを込めて、この雑誌をプレゼントしてきました。まず最初に元上司に報告し、それからこちらで告知しよう・・・と密かに思っていたので無事に手渡しできてほっとしました!

私は翻訳未経験で学習経験もない状態で社内翻訳者として採用してもらっているんですが、私の英語力やら翻訳力(トライアルがありました)が評価されて・・・と言いたいところなんですけど、実は全然違う要因が!

「利酒師なら宴会が楽しそう」・・・。
履歴書の資格欄が寂しかったので書いておいた「利酒師」の文字が上司の目にとまり、採用に結びついたんです。あ、一応申し上げておきますと、他にも候補者はたくさんいました(笑)。

本誌では「強運にも」という表現でまとめていただいていますし、間違いなく超絶ラッキーだったんですが、上司はそんな懐の深い方なんです。こんなステキなご縁がなければ今の私はいないのかと思うと、感謝の言葉以外、出てきません。

こういうことがあるから、これから翻訳者を目指す人に「利酒師になれ」とはオススメしませんが、人生何が自分を助けてくれるのかわからないなと思います。これから医薬に限らず翻訳でも何でも、何か新しいことを目指す方は、ぜひこれまでの自分をフルに活かしてがんばっていきましょう~~!私も自分の過去に誇れることはあんまりありませんが、変えられるもんでもないし、これからもこの調子でがんばります!

最後に自分を振り返るよい機会を与えてくださったイカロス出版の編集部の皆様に感謝申し上げます。

また昨年のJTF翻訳祭にパネリストとして声をかけてくださった齊藤貴昭さんに御礼を申し上げます。ひとりだけわがままを言って持ち時間を多くいただいたおかげもあって、今回の取材につながりました。ご一緒した小林晋也さん、長尾龍介さんもありがとうございました(もう何度もお礼書いてますねー。それほどお世話になっている、ということで)

2014年3月30日

告知!もうひとつBlogこそっとやっています!

みなさんこんにちは。
なかなか更新しない本ブログの管理者上林です。

更新しないブログを持ちながら、もっと更新するブログを持とうと
別のブログを立ち上げました。

http://tsuhonnote.blogspot.jp/

こっちらでは、ライフハック的なものから翻訳セミナーのご案内まで、医薬だけでなく通訳翻訳周りの幅広いネタを集めてご紹介していこうと思います。

本ブログと合わせてかわいがっていただけますと幸いです。

17/30冊『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』クリスティン・バーネット著 永峯 涼訳 読了


もはやカウンターをつけている意味を感じないぐらい久しぶりの更新となりますが、読書ノート、今回は自閉症・アスペルガー症候群を患う天才児のお母さんの自叙伝です。
今回は読書感想文に少し病気の背景を記した構成にしたいと思います。

きっかけは、『ゼロからトースターを作ってみた』(飛鳥新社、トーマス・トウェイツ著)

の訳者でいらっしゃる村井理子さんがFaceookでこちらの動画を紹介されていたのを見たことから。




いつも興味深い話題を提供される村井さんの熱いコメントに誘われて何気なく見始めてしまったら・・・もうこのジェイコブ君がキラッキラしていてとにかく魅力的。彼を育てたお母さんの著作に興味を持ちました。

この本の具体的な内容に触れる前に、自閉症という病気についてさらっとみてみましょう。
恒例のNEJMをチェックしてみると、ワクチンとの関係を検証したものなどが多く、なかなか病気そのものを追求したものが見当たりません。少し古いですが、自閉症についてまとめた記事がありました。

REVIEW ARTICLE / CURRENT CONCEPTS
Autism
Isabelle Rapin, M.D.
N Engl J Med 1997; 337:97-104July 10, 1997

自閉症は"Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-IV)"(日本語版『精神疾患の診断・統計マニュアル』)において広汎性発達障害(PDD:Pervasive Developmental Disorders)の一つと考えられており、診断基準も定められています。

その症状はコミュニケーション、遊び、集中力と活動、認知、知覚運動性行動などに特徴があります。自閉症の病因については生物学的病因が複数定義されているものの、自閉症だけに認められるものはありません。出生前要因(胎内風疹など)、染色体異常などが考えられますが、出生前要因の役割はほとんどなく、生後の要因として未治療のフェニルケトン尿症、点頭てんかん、単純ヘルペス脳炎、またごくまれに局所的な脳病変などが多く例証されています。面白いのが、これらの病因が当てはまると考えられる患者の割合が、診断基準や評価方法によって10%~30%ものばらつきがあることです。要するにだれがどう判断するかによって病因と呼ばれるものが違う、ということですね。
遺伝的要素も重要な要因となるようで、自閉症児のいる家庭では3%~8%の確率で再発するというエビデンスの存在も。双子を対象とした研究では、一卵性の双子では90%に両児ともに自閉症を認めるが、二卵性(同性)では5~10%程度しか認めません。このことから遺伝的要因が考えられます。また両児に認めても症状の発現にばらつきがあることから、複数の遺伝子発現と遺伝的要因が相互に作用しているのではないかと考えられます。
さらに多くの研究で自閉症に幅広い神経異常が認められることから自閉症との関連が推測されていますが、解剖学的または病理学的な理論は成立していません。

さて、本のご紹介に戻りましょう。この本は、2歳の息子がこのように病因もはっきりしない疾患、自閉症であると診断されたお母さんが書いています。ご自身の結婚から子育ての現在まで自叙伝的な作りになっています。

両親は、息子ジェイコブ君が自閉症と診断されてから1年ほどは、日々の訓練セラピーを懸命にこなし、成長を見守ります。しかし「5歳までに周囲がどれだけ介入したかに症状の改善がかかっている」という説があるそうで、お母さんは焦りはじめます。
そんな中、セラピーの先生から「この子は字を読めるようにはならないから、アルファベットのカードを持たせるのは意味がない」と言われ、衝撃を受けます。確かに、先のNEJMの記事にも、予後はおもわしくなく、思春期になるとホルモンの影響を受けてよりいっそう社会的な環境に合わせるのが難しくなってくる、と書いてありました。

ですが、健常児であっても、「大学に行けるわけないから、勉強はこの程度でいいでしょう」と言われたらどうでしょう。私ならその場で星一徹に豹変して軽く暴れると思います。「我が子の可能性を過小評価しないで欲しい」と。
ジェイコブのお母さんもこの一言でセラピーに任せるのではなく、自分でなんとかしようと決心します。1年後に一般の健常児と一緒の教室に入れるようにしてみせると。

これをきっかけに、お母さんは「苦手を克服する」これまでのセラピーとは真逆の「得意なものを伸ばす」ことに注力していきます。この少し前から、お母さんはセラピーとは別に好きなだけ好きなことに没頭する「子どもらしい」時間を意識的に作るようにしていました。そのおかげか、徐々にジェイコブ君の言葉も戻ってきていたこともあり、お母さんは反対するお父さんや関係者を粘り強く説得しながら、自分の経営する保育園を舞台に、ジェイコブ君だけでなく健常児に対しても、この得意を伸ばすという方針を貫いていきます。またこのお母さんがパワフルなのは、健常児用の保育園経営とは別に、完全にチャリティで自閉症児のための保育を始めるのです。

お母さんは「好きなことを思う存分できる時間があれば、好きでないことにもいい集中力を持って向き合える」と考え、子どもをよく観察して得意・好きを見つけて、最初はともに楽しみ、後に一人で集中できる環境を用意してあげます。

この方法は育児全般にも当てはまるように感じました。子どもに一番必要なのは心の充足感。今日も一日楽しかった。ご飯をお腹いっぱい食べた。お風呂に入って気持ちよかった。そういうシンプルな心の充足感があると、嫌なことも取り組めるようになる・・・というのは私が育児をしていても素直に感じるところです。遊ぶ時間が短い、睡眠時間が足りない、食事が不規則だったりすると、本来好きだった活動(読書だったりお人形遊びだったり)にも集中できず、そんな状況がさらにイライラを呼んでしまい、行動が荒れ、結局お母さん(私ですね)に怒られて泣く・・・というスパイラルに陥りやすいという実感もあります。例え時間が短く、ささいなことであっても、気持ちが満たされる瞬間があると、子どもは嫌なことを嫌と感じず、機嫌よくやってくれるような気がします。

さて、ジェイコブ君のお母さんは、この「好きなことへの集中」を軸に、様々な工夫をしてジェイコブ君を支えます。途中には次男の病気やお父さんの失業(大不況に見舞われます)、お母さんが病に倒れてしまったりと、大変な時期もありました。それでも家族の結束と信仰、周囲の協力でジェイコブ君は普通学級に入るどころか、天文学への興味から大学の公開講義を受けたことがきっかけとなり8歳で大学まで飛び級してしまいます。そして現在も宇宙についての研究を行っているそうです。

自閉症という病気のメカニズムがはっきりわからないため、ジェイコブ君のような天才的な頭脳と自閉症の関係性はわかりません。というよりも、自閉症かどうか、天才児かどうか、という問題を超えて、ジェイコブ君が家族の愛情に恵まれ、すばらしく幸せな人生を歩んでいることに感動しました。
好きなことを好きなだけ没頭しつつ、家族や友人との時間も持てる。そういう環境を用意しようと並々ならぬ努力と工夫を重ねたお母さんの姿に深い尊敬の念を覚えるとともに、自分も子どもの好きや興味を大事にしてあげたいなと思いました。


2014年3月20日

医療機器の用語確認に便利。医器工の用語統一のためのガイドライン

私の仕事のだいたい3割は医療機器に関連する文書が占めており、医療機器の文書では医薬とは違ったポイントで注意しなくてはならないこともあります。

例えば、メーカーによって同じような機能を持っているパーツでも、呼び名が異なったり、構成品の名称も変わったりしますし、同じように見えるパーツでも「アダプタ」だったり「コネクタ」だったり、JISやISOで細かく規定されていて、用語の選定→確認に神経を使います。

お仕事をいただく頻度の高いカテーテル系などは、自分で表を作ったりしてまとめていたのですが、
今回、日本医療器材工業会(通称 医器工)が出している医療機器の用語のばらつきに関するガイドラインを発見しましたのでご紹介します。

「日本医療器材工業会における規格・基準関連用語のあり方―用語統一のためのガイドライン(第2版)」

ここからPDFをダウンロードできます。(PDFへの直リンクはこちら

このガイドライン、昨年の3月に公開されていたみたいなのですが、今まで気づいていませんでした。お恥ずかしい・・・。もしみなさんすでにご存じでしたら、そこはスルーでお願いします。

こちらのガイドラインでは、全ての医療機器に対応しているわけではもちろんなく、
次の5つの製品群について規定しています。

1. 非血管系カテーテル類
2. 針・輸液ライン類
3. 人工心肺・人工腎臓関連
4. 血管系カテーテル類
5. 整形・インプラント関連

この製品群個別の用語集の他に製品群を問わず共通なもののまとめもあり、かつ制定に至った解説のページもなかなか面白かったです。

図も豊富で、どのパーツがどの名称なのか、またその簡単な説明も併記があって使い勝手がいいです。

上記5つの製品群で用語の選定に迷った時の味方になりそうだなと思いました。みなさんのご参考になれば。


2014年3月1日

遠田和子先生の「品質アップの英文推敲テクニック」を受講しました


3月1日(土)、あこがれの遠田和子先生の英訳推敲講座(2時間)を受講してきました。
テーマは英文推敲。

お恥ずかしい話なのですが、自分の筆頭弱点に、しょうもないポカミス、凡ミスの連発があり、もはや「気をつける」「読み直す」だけでなく、ミスを0に近づけるための取り組み、システムを自分で構築しないとプロとしてやっていけないな・・・と痛感していてるワタクシ。そんな模索中の私にぴったりな講座テーマでした。

お話は大きく分けて2部にわかれており、前半はProofread(校正)、後半はRewiteという構成でした。

1)Proofread = Correct
スペルミス、文法ミス、転帰ミス、訳抜けなど、当たり前のことにプラスして、英訳ならではの校正ポイントとして、て「自分では『そのつもり』を正す」という視点が紹介されました。

翻訳する時は、まず日本語を理解してから英語を書くわけなので、自分では修飾-被修飾の関係や、代名詞の扱い、それからどう考えてもこの読み方(解釈)しかできない・・と自分では「できてるつもり」になってしまいがち。
それを客観的に見極めて、「そのつもり」になっているけど、複数に解釈できる可能性はないか、修飾の掛かりや代名詞に曖昧さがないかなどをチェックしましょうというお話でした。

具体的には、動詞と副詞はできるだけ近づける、リライトの話にも繋がりますが、強い動詞を使うことなどのチェックポイントを確認しました。

2)Rewirte=Clear & Concise
まず自分で英文を評価する基準を持ちましょうというお話からして目から鱗でした。
何も指針なくして、英文の大海原、しかも自分が書いている英語という難癖ある代物に、素手で立ち向かうようなことをしてはいけないですよね。

授業で繰り返し先生が強調されていたのは、
S+Vが体幹を成しているか?
強いVを選択しているか?
文の流れ(Given-newの概念)は適切か?
この3つを意識して評価しようということ。

日本語の構文につられないで、文章が持っている意味を重視して英語らしく考え、体幹となる主語と動詞を決め、情報の流れ方として、古いモノ(given)→新しい情報(new)となっているのかを確認しましょうと。

動詞を名詞化にしない、強い動詞を用いるといった考え方のいくつかは、JTFジャーナルに昨年寄稿させてもらった自分の記事とも被っていましたが、より説明が具体的でとても腑に落ちるものでした。というか、とっさに「名詞化」って言葉が出てこなかったあたり、自分のふがいなさを実感しましたわ・・・(汗)

このお話を聞きながら、昨年受講したAMWAの「明確な文を書くために」というテーマの講義で、先生が「読んで理解できない論文があったら、なんでわからないのか解析してみましょう。表現が助長なのか、言葉の選択が曖昧なのか、論旨の作り方がテキトーなのか。ダメな文には必ず理由があるからそれを解析するのもよい文書を書くための練習になりますよ」と言っていたことを思い出しました。
遠回りなようですけど、ダメなポイントをきちんと把握し、それを避けることでよい文書を書くということも、英文の評価をきちんとするという意味では正しいアプローチなのではないでしょうか。

よい翻訳者、ライターとはどういうことか、というお話もありました。
どれぐらい細かく単語の意味の違いを自分のものにできているのかが勝負であり、丹念に英英辞典にあたり、単語の持つ意味、音、感触まで深く理解して、使いこなせるようになることで、より明確なメッセージを伝えられるようになる。つまりより正確に翻訳できるようになるってことですね!

この目標に向かって、翻訳者や物書きは辞書をあたり、言葉を選んでいくし、世の中にいわゆる「用語使い分けの本」がたくさん出版されているんだなーなどと思ったり。それまで漠然と辞書を引いていたんですが、ゴールが明確化したので明日から(いや、今日から!)辞書を引くのが楽しみになってきました~。

2時間の講義でしたが、内容は2時間以上に感じられるほど濃く、とても勉強になりました。
今回学んだことも踏まえて、自分のミス撲滅プロジェクトを完成させたいと思います。

遠田先生、ありがとうございました!

追記 3月2日
遠田先生より、授業でご紹介のあったNY Timesの記事リンクを頂戴しました。
先生のFacebookページも合わせてご紹介いただきましたので、FBなさっている方は是非チェックを!