2013年3月23日

再掲!Googleハングアウトで生放送!関根マイクさんとの3時間(内容編)

※以前に取り下げた記事内容について、
構成を大幅に変更して以下に再掲載いたします。

317日の夜間に、3時間ほどGoogleハングアウトを利用して
関根マイクさん @mikesekine とお話をさせていただきました。
準備編として、Googleハングアウトの設定方法や終了直後の感想など、
書いているのですが、
ここに改めて3時間でお話いただいたことをまとめてみようと思います。

また私の感想なども織り交ぜて書いておりますこともご了承ください。

★翻訳を始めたばかりの新婚時代を経て、現実に直面。ビジネス戦略を持つように。

すでに13年以上もキャリアがあるマイクさんにも
やはり新人時代はあったわけで、ちょうど今の私と同じように
「ただ翻訳するのが楽しい、やりがいもある、目の前の仕事を一生懸命やるだけ」
といった時代を経験。
そして、もちろん、仕事を請けるのは100%エージェント経由だったそうです。

しかし、今より3倍仕事しても収入は今以下という厳しい現実に直面し、
これでは健康で長く仕事はできないと気づいたそうです。

何か先輩の助言や、読んだ本に影響されたのですか?と質問してみましたが、
毎日の仕事の中で、勉強も重ねて、自己投資もしていくうちに
自然と自分のビジネス戦略を考えるようになったということでした。

★ビジネスとしてやっていけると思ったのは、エージェント率が3割になったころ。

翻訳者が毎日8時間以上も仕事をし続けたら
創造力が枯渇してしまう。
何もやらないオフの日や本や映画を楽しむ時間が必要と考え、
その時間を捻出するためにもエージェントとの付き合いを再考したそうです。

とは言うものの、エージェントとお付き合いが完全になくなってるわけでもなく、
きちんと翻訳に理解があり、時間や金銭的にも理解があるエージェントさんとは
今でもお付き合いが継続しているとか。

探せばそんなエージェントさんもある、ということですね。(もちろん腕がなければ、話になりませんが)

またエージェントの比率よりも直取引の比率が高まるにつれて、
ビジネスとして本当の意味でやっていけると感じるようになったそうです。

最初は随分ご苦労があったとお聞きしていますが、
新人時代からうまく脱出し、一歩先に出るビジネス戦略を持つことで
今のご活躍に繋がっているのがわかります。

★業界全体の底上げをしなければ、レートの下降傾向は止まらない。

ひとりひとりがビジネス戦略を持って、エージェントとお付き合いしたり、
ニッチ市場を開拓したりして、翻訳業界全体を盛り上げないと、
このレートの下降傾向は止まらないと繰り返していらっしゃいました。

この放送前にもTwitterでのマイクさんの発言に起因して議論が起こりましたが、
ちょっと過激な内容であっても、誰かの気持ちが変化して、行動をおこし、
その行動が次の人の気持ちの変化へとつながっていく。
こうやって広がっていけば、業界全体の意識というか、常識も変わっていくのかもしれませんね。

ご参考までに、最近、マイクさんのツイートが起因となり、
翻訳クラスタ内で議論が生まれました。その経過がこちらにまとまっています。


★直取引やいいエージェントを見つける最良手段はパッシブ(passive)な営業!

今の時代、10年前とは違って、営業手段はいくらでもあるはず。
何でもあるけれど、何も飛び込み営業をしろ、ということではなく、
もっと受け身な営業が効果があると。

よく病院に行くと、「○○科専門医認定 ○○学会」とか
お免状が掲示されてませんか?あれがパッシブな営業の一例だそう。
 
もし弁護士が「交通事故とかでお困りじゃないですか?」って
自分の家にピンポンしにきたとしても、
絶対その人に弁護を頼みたくないですよね。怪しすぎる・・・。
医師や弁護士が飛び込み営業などしたら逆に信頼を失う訳です。

翻訳の場合もまったく同じで、
能動的な営業をするよりも、passiveな営業が有効。
ブログなどのメディアを通じて、
適切な形で自分の専門知識を記すとか、
少しずつでもいいから、ファンを増やし、
相手が自分を信頼してくれるようにする。
これがpassiveな営業の肝となるそうです。

実は、私もJTFの翻訳祭でマイクさんの講演を聞いてから
このブログをリニューアルして、
自分の勉強も兼ねて、論文を元に記事を書いて
専門知識もアップデートしてるよ、というのをアピールしています。
ですが、私の場合は、ただ、それだけになってしまっていて、
次の一手を打っていないのが問題となっているように思います。

この点に関して、さらに踏み込んだアドバイスを具体的にいただきました。

★情報を分析する必要性。翻訳作業の調べモノと同じように、市場を読むべし

普段の翻訳業務で、論理的に考えるのは必須だし、
勉強したり資料を読み込んだり、調べモノをするのも仕事の一部。
その論理性を使って、市場の将来を考えればいいと。

なるほど・・・。普段、こんなにネットで裏を取ったり、
原文が求めていることを理論的に考えているわけですから
誰でもできるかもしれませんね。

日頃の調べモノから派生して、
マーケットが求めているものは何かを考える場合、
対象が幅広くなる分、色んな答えがでてきて面白い、とマイクさん。

なるほどー。広がる分だけ大変じゃん!と思っていたので、目から鱗でした。
ただわかんないよ、って嘆いているだけじゃ、ダメですものね。

★ゲーム理論で複数のプレイヤーの中で勝ちにいく。行動経済学も必読。

複数いるプレイヤー(翻訳者)の中で、
複数の、しかも自分よりも情報を多くもっているエージェントとどうやって戦うか。
この戦いを制するには、ゲーム理論がすごく勉強になるそうです。

マイクさんのオススメというわけではないのですが、
kindleでこの本を買ったので、この週末に読む予定です。


行動経済学から市場を読むことについては、
昨年のJTFの講演内容の前半部分が参考になりますね。
(まとめはこちら。ただし、肝心の行動経済学については詳細を記していません。)

★ニッチ市場を見つけ、早く入ること。

これはTwitterからも「市場を深く掘り下げることで見つかる」
と書いている方もいらっしゃいました。
そして「早いモノ勝ちで、そんなに何人も入れない」ということも知っておかねばなりませんね。

★自分が所属しているコミュニティでの認知度を高める。

コミュニティでの認知度があげれば、営業として強い。
そして認知度を上げる最良の方法は、
ターゲットにしているコミュニティで自分の名前で本を出すこと。

お客さんは、個人でも企業でもその形態を問わず、
とにかくいい仕事をしてくれる人と仕事をしたいと思っているわけで、
どんな人がいい仕事をしてくれそうかという判断基準の一つとして
やっぱり「本を書いている」というのは大きいということ。
この場合、訳書じゃなくても、自分で書いた本でもいいというアドバイスもありました。

確かに、○○を書いた著者とか訳者という看板の方が
お免状よりも強力な武器になりそうですね。

さらに放送の後半には、医薬翻訳、特に治験についての話題になりました。

★レートが上がる要素が見当たらない。ラットレースからの脱却を。

Twitterからも指摘がありましたが、
医薬翻訳の下落傾向が止まらない現実を見て
このままでは5年後に仕事が今よりよくなっているとは思えないと。。

毎年新しい(安い)翻訳者がたくさん参入し、
しかも治験のように比較的定型化文が多い分野であれば、
安い人にどんどん仕事が流れるのは避けられませんよね。
実のところ、私はこの恩恵にあずかって、市場参入を果たしたわけですし。

さらに製薬会社はエージェントとしか契約しないのであれば、
自分達でエージェントを立ち上げるというのも
ひとつの戦略じゃないかという指摘もありました。

Twitter上でも治験を専門分野にしている翻訳者から
思わず悲鳴があがるような内容でしたが、
この厳しい現実を把握した上で、
情報を分析し、市場リサーチをし、ニッチを見つけて入っていけば
なんとかなる・・・と信じたいです。

5年後も10年後も20年後も、翻訳への愛を失わずにいたいですし、
きちんと食べていきたいですもの。

さて、ちょっと話が変わりますが、
三度の飯より読書が好きなマイクさん。
初歩的な質問として、読書の意義は何かを問うてみました。

★自分の剣を磨くのはプロとして当たり前。読書をしない翻訳者は詰んでいる!

私たちが普段使っている言葉は
オリジナルのものではなくて、誰かからの借り物。
見聞きしたものを使っているに過ぎない。
じゃあどこで言葉(表現)を得るかとえば、
本を読んで身につけるしかない、ということでした。

読書をインプットとすると、読書感想文はアウトプット。
私も細々と読書感想文プロジェクトをやっていますが、
思うように進んでいないと告白したところ、
必ずしも10冊読んだら10冊分の感想文を書く必要はない。
でも、私のように語彙が圧倒的に足りてないと感じていて、
身につけたいのであれば、たくさんインプットして、アウトプットするという
サイクルをきちんとつけることで、語彙は伸びるとアドバイスをいただきました。

目的を持っているのなら、乱読じゃなくて、
ターゲットを絞った方がいい、というアドバイスも
Twitter上でいただきましたし、
私もだらけていた読書プロジェクト、少してこ入れしていこうと思います。

さて、Twitterでも質問をたくさんいただきましたが、
その中からレート交渉についての質問をここでまとめておこうと思います。

★レート交渉は、タイミングにかかっている!

レート交渉で大事なのは、自分が絶対に断られないタイミングで行うこと。
エージェントの中での自分の立場(発注頻度、現在のレートなど)、
市場の中での立場(分野の特殊性など)を考えて、タイミングを計る。

例えば、内容もすごくニッチで、
自分が断れば翻訳者を探すのに苦労しそうなのがわかっていれば、
エージェントはレートを上げざるを得ない。

でも、あんまり貢献度もなくて、他に代わりがいそうであれば
エージェントはわざわざレートを上げることはないし、
上げたとしても、その後発注されることはなくなる・・・(怖い・・・)

さらにもうひとつ、交渉の大原則を応用した
明日から使える具体的な交渉術を教えていただきました。

★自分が強い立場で交渉をすすめる

相手より優位な立場で交渉を進める、これは大原則なのだそうです。
翻訳者にとってエージェントよりも優位な立場とは、
交渉が決裂しても、痛くもかゆくもない状況、
と考えられます。

具体的な例として以下を説明いただきました。
現在、A社、B社、C社と契約していて、
今回運良く新規でD社と高いレートで契約を結ぶことできたとする。

この高いレートを材料にして、
3社のうち一番レートの低いA社と交渉をスタート。
A社が値上げに応じてくれれば、それでよし、
A社が応じなければ、お取引をやめればよいと。

仮にA社からの発注がゼロになっても、
さらにレートの高いBCD社が残れば
問題ないですよね。

さらにレートをあげながらポートフォリオの整理もできるし、
この一連のやりとりを繰り返していくけば
レートが上がっていくことになるわけです。

・・・・・
他にもたくさんの質問にお答えいただいたのですが、
とても全部はご紹介できずにすみません。

新しいタイプの勉強会をやってみようという話も出ましたし、
次はダラダラ形式ではなく、ちゃんアーカイブに値するような
内容の放送を目指したいなと思います。

お聞きいただいたみなさん、
そして勉強になる話題で盛り上げてくれたマイクさん、
どうもありがとうございました!

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