2013年3月4日

フェロー・アカデミー「いま人気のポピュラー・サイエンス本を訳す」を受講しました

先日、翻訳学校オープンデイの記事を書きましたが、
フェロー・アカデミーの「いま人気のポピュラー・サイエンス本を訳す」を受講してきました。

講師はポピュラーサイエンス分野で知らない人はいないでしょう、斉藤隆央さん。
訳書をいくつか拝読しているのですが、どの本も難しい内容なのに、
日本語がすっきりしてすごく読みやすい。文系な私でも抵抗感なくワクワクしながら読めるんですよね。

そして直接翻訳とは関係ないのですが、
私は訳書だけでなく、密かに斉藤先生のツイートファンで、
ツイッターでフォローさせていただいていているのですが、
今まで直接お会いする機会がなかったので、この講座でご挨拶できればいいなーぐらいの
軽い気持ちで受講を決断(ミーハーですみません汗)。

事前課題は、ご自身が以前に訳された
こちらの書籍の冒頭部分の3パラグラフ(550字程度)。




これがすごく難しくて、どう考えても「イマイチ」な訳文を送ってしまっていたので
「ご挨拶したくて申し込んだのに、恥ずかしすぎてできないかも・・・」と
私にして珍しく、前夜は緊張して眠れなかったり。

さて、前置きが長くなりましたが、始まってしまえば
そんな恥じらいも吹っ飛びまして、とても充実した100分となりました。

まず冒頭で、
科学書の翻訳では、正確さと日本語の読みやすさを両方兼ね備えることを目指しましょう
というお話があり、
その実践として、5つの例文(対訳)を見て、
どこがおかしいか、正確さを欠いている部分がどこかを検討しました。

講義スタイルとしては、受講生の自主的な発言を促す感じでしたので、
私もおそるおそる挙手して珍答を披露したりしましたが、
おおざっぱな私には本当、難しかったです。

たとえば、
millions of ducks and geese mass in Canadian lakes for their annual migration
無数のアヒルやガチョウが南へ渡るためにカナダの湖沼に集まる

この中でおかしいところはどこか、を考えました。
答えは「アヒルやガチョウ」。
日本語でアヒル、ガチョウはいずれも家禽。野生じゃないんですね。
この場合、野生の鳥について書かれているので、
「カモやガン」が正確な訳となると。

続いて課題文についても質問フリーのスタイルだったので、
けっこうたくさん質問したんですけど、
後半はなんとなく、「あれ?私ちょっと質問しすぎ?」と控えてしまったりしたんですが、
もったいないことしたーと今反省してます。
遠慮は無用。教室では非情に徹するべきだったかもしれませんね・・・。

課題文の解説を全て書き記すことはできませんが、
まず原文、訳例、自分の訳を並べると、
訳例は原文の流れをそのまま生かしてあって、
原文を足すことも引くこともない、美しい訳、という印象でした。

私の訳は、日本語がうまくまとまらないと、
前後を入れ替えたり、原文の単語から離れた訳語を選んで、
なんとなく落ち着かせるようなこさかしい感じなんですけど、
訳例は、文を大きくいじることなく、原文に遊びがあるところは、それを拾い、
科学的な説明部分はもちろん正確に。
翻訳書としてのいい意味でのひっかかり(日本語にはない概念や思考の流れ)は生きているのに
それでいて読みやすいという、さすが斉藤先生は違うーとうなってしまいました。

私は主に「訳例がそこに落ち着いた経緯、考え方」が知りたかったので、
そういった方向の質問をいくつかしましたが、
その中にはなぜ斉藤先生の訳書が読みやすいのか、ヒントになるような答えもありあました。

たとえば、
私訳: 氷床が融解した際に水が集まってミシガン湖を含む五大湖になった。
訳例: それが解けると、水が集まってミシガン湖を含む五大湖ができたのだ。

ここで前半の動作を「解ける」とすることで、
後ろの「集まる」という言葉とバランスが取れるようになっているのがわかります。
私の訳だと、「融解」と「集まる」で難易度に違いがあるというか、バランスが悪い印象。
科学書はカタカナや漢字が多くなりがちなので、
できるだけ使わなくていい漢字は使わないように読みやすい日本語を心がけているということでした。

他にもなるほど!な考え方をたくさん教えていただき、本当に勉強になりました。

医薬翻訳、特に最近の受注傾向として割と堅い、決まった表現があるような文書を多く訳していたので、
今回のような出版物の翻訳はすごく考えるところが多く、頭もかなり疲労しました・・・。

授業で盛り上がった気持ちをそのまま利用して
終了後に勢いよく斉藤先生にご挨拶もできました!
目標達成!イエイ!
少し雑談もして、ますますファンになりました~♡ 

しかも調子に乗って、私の訳文に赤入れをしていただいた生原稿を「ください」とお願いしたところ、
快く応じてくださり、家にもって帰って熟読。
これがまたすごい勉強になる・・・
そりゃもうすごい真っ赤っかなんですけど、こんなに丁寧に読んでいただけたのかという感動と、
どのコメントも言葉使いが丁寧でお人柄がにじんでます・・・。ありがとうございます。家宝にします。

今回の他道場見学も多くの発見があって楽しかったです。
楽しかった、面白かった、だけで終わらせないように
これからの仕事に反映させていければなって思います。がんばりまーす!

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