2013年2月6日

12/30冊『トム・ラングの医学論文「執筆・出版・発表」実践ガイド』読了

既に満席で、現在キャンセル待ちが出ている状況ですが、
2月18日(土)に日本翻訳者協会(JAT)主催の医薬翻訳に関するワークショップ、
 「読み手を意識したライティング」が開催されます。

※実は先月から主催者であるJAT内の医薬翻訳を専門とする委員会(通称JATPHARMA)の末席におりまして、半分宣伝みたいな感じになってしまってすみません。

このワークショップでは、
講師にThomas A. Lang氏 をお迎えし、明確な医学論文の書き方を勉強するのですが、
事前課題としてこちらの本を読むことが必要になり、
今まで持ってなかったので、慌てて購入しました(笑)。



さっそく読んでみたので、以下にその感想をまとめたいと思います。

★実践的なリバイス例
私は現在英訳強化を掲げておりまして、
自分が書く英文だけでなく、
関連分野の英文を読む時(たとえば和訳のお仕事などで)にも、
「ほほー、こういう言い方するんだー」と
ちょっと意識的に英語を読むようにしています。

でも、どれがよいライティングで、
どれがイマイチなのか、という判断がつかなくて、
なんとなく全体で「読みやすいからいい英文?」とか
「理論がすっと頭に入るからいい文章?」とか、
常に「?」がついている状態でした。

本書では、
この点に注意して書きましょう、というガイドとともに、
ダメな英文のリバイス例が記載されているのがわかりやすいです。
中には今までけっこう目にしていた英文例が
ダメな方にあがっているものもあり、慣例として使われているんだろうけど、
美しくない英文なのか・・と気づくことも。

★表やグラフ
研究結果のデータをどうまとめるか、にまるっと1章を割いてあり、
データという値を、どうやって見せるか(図表の種類)、
またそれぞのれの目的(何をまとめたいのか)の解説が簡略かつ明確でした。

本書は本来、データから図表を作成するためのガイド本なのですが、
読み手にとっても、「そういう狙いでここにこの図があるのか」というのが
わかるのとわからないでは、全体の理解度に大きな差が出ると思うので、
とても勉強になりました。

非常にお恥ずかしいのですが、
試験結果を表1にまとめた、などと書いてあるけど
実際それがどういう意味を持つのか、
図表をみただけではなかなか分からず、結論の方まで読み進めて、
「あ、そういうこと?」みたいにわかることも多いのです・・・。

ちょっと話は脱線しますが、
論文全体の流れ(要約)が分かっていて全体を読むのと、
何の話が始まるのか、1パラグラフずつドキドキしながら読むのとでは、
やっぱり内容理解の深さが違うんじゃないかと最近になってようやく気づきました。

もちろん論文の背景知識や英語力などがあって
わかることもたくさんあると思うのですが、
全体をつかむために、図表を見て読み取れることも
短時間でおおざっぱに把握するにはいいんじゃないかなと思っていたので、
この本でざっくりわかるようになったのは収穫でした。

★つたない読み手の助けとなる抄録の書き方、原著論文の書き方
先の表やグラフと同様に、
本書では「書き方」を説いているのですが
実は「読み方」という視点でみても
すごく内容が整理されていると思います。

日本語でも英語でも、
長く医薬系、サイエンス系の論文を読んだり、
書いたりするご経験のある方はあてはまらないと思うのですが、
読み始めたばかりの人間にとって、
「どこに、何が、何の目的で」記載されているのか、
全体がなかなか見えないものなのです。

特に論文は自説の正しさを主張するために書かれているわけで、
なんか論理的なゆがみがあったりして「?」が生まれても、
なんだか強引に最後の結論まで持ってきていて、
結局「?」が大きくなって終わる・・・ってパターンもありますよね。

そんなときに、本書のように
どのセクションにはどんなことを書くべきなのか、
またその注意点は何か、を先に教えてくれると、
つたない読み手は内容の予測ができて読みやすくなると思うのです。

★その他
本書は、助成金申請方法やポスター発表、スライド発表についても多数のページが割かれているので、
これからもしスライドの翻訳やポスター発表の翻訳など案件が発生したら
まずこの本を一読してからとりかかると、
目的にあった内容を納めることができそうだなという印象を受けました。

以上
駆け足で一部のみをご紹介しましたが、
3800円の本書、紙が異常に立派(笑)なことも加味し、
お買い得なんじゃないかと思います。

タイトルにあるとおり、初めて論文を英語で書こうとしている人はもちろん、
医薬翻訳の初学者にもなかなかいい1冊かなと思いました。

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