2013年1月6日

11/30冊『Media Makers-社会が動く「影響力」の正体』田端信太郎著 読了

当ブログ、すでにご案内しました通り、
プチリニューアルして方向転換を図っていますが、
本書を読んでから取りかかればよかったかなーなどと思ったりしてます。
読みやすくて、全体をつかむのにとてもよい1冊だと思います。

 

Amazonより:メディアの知識は、現代ビジネスパーソンの一般教養です。
メディアが毎日の隅々までを浸す「メディア爆発時代」。ビジネスの成否や、人生の質をも左右する「メディア・リテラシー」の身に付け方とは…?
8000万ユーザーの「LI NE」、5億PVの「livedoorニュース」、60万部の「R25」など数々のメディアビジネスを経験した著者が、メディアの成り立ちから影響力の正体を解き明かします。
本書籍は、宣伝会議運営の広告界のニュースサイト「アドタイ」の人気コラム「メディア野郎へのブートキャンプ」をベースに大幅に加筆・修正を加えて書籍化されたものです。

デジタルと紙媒体とを自由に行き来する
田端信太郎氏による著作です。
内容とは直接関係ないですが、kindleで読んだ本の初めての感想文になります。

読了後、まずタイトル「Media Makers」はよくできてるなーと思ってしまいました。
メディアを創ることについて様々な角度で書かれている1冊で、
メディアの概念を整理し、その影響力を分析し、
コンテンツの傾向からメディアビジネスのあり方を提示し、
最後は個人型メディア戦略まで一気に読ませる構成です。

本書の内容は、この1,2年のメディアの動きだけを分析したものではなく、
もっと普遍性があると感じましたので、少し細かくご紹介します。 

★メディアとは
まず、メディアとは、「送り手」と「受け手」のコミュニケーションを
成立させることを目的とするもの、と定義。
そしてこの「送り手」と「受け手」の立場でメディア論が展開されます。

1)「業界」の創出
メディアの誕生が業界を創った例として
ヨガとヨガ雑誌の創刊を挙げています。
新興宗教の影響もあり、「怪しげ」と思われていたヨガ。
これをアメリカ経由で「おしゃれでヘルシー」なイメージに一新したのは、
雑誌「Yogini」の創刊が大きかったとしています。
結果として、女性向けの健康法、美容法としての「ヨガ業界」が
立ち上がり、確立したと言えるでしょう。

つまり、受け手がメディアを見て、
それまで意識していなかった潜在的な欲望(この場合はエアロビじゃないジムスポーツがやりたい、エコな感じが好き等)が、
製品・サービスへの需要(ヨガを習いたい、ウエアが必要等)として顕在化された例だと考えています。

2)予言を自己実現する力
新聞の飛ばし記事があれよあれよという間に世の中を動かし、実現してしまうように、
メディアには公に向かって発した瞬間からその内容を自己実現させる方向に向かう力が
生来のものとして備わっていると田端氏は「ライブドア事件による上場廃止」までの
流れを実際に目にして実感したそうです。

この実現する能力に対する信頼性がメディアブランドとしての信頼感につながり、
それに対して広告主は広告費を出している一面があると。
田端氏はこの実現する能力を「マジック」と呼び、
「無から商品の需要それ自体を生み出す」ようなブランディング広告に対し、
期待されているのは、このマジックであると結んでいます。

つまり、1クリックいくらで支払われるようなチマチマした広告ではなく、
メディア全体を覆う信頼感のようなものに対し金銭を払い、
そのマジック力によって、潜在的な顧客の需要を引き出すことを期待されているということですね。

★コンテンツ
次に、メディア特性の一つとして、現在のコンテンツ事情を解説しています。
1)ストックとフロー
時間に着目した概念。

ストック型は、貯蔵して後からでも読み返すようなコンテンツ(Wikipedia等)
 SEOを意識した編集で、あとから検索されるようなものを目指す

フロー型は、そのときに読むべきコンテンツ(Twitterのタイムライン的)
 「今ココ」で読まねば、という強い意味づけに価値がある。

2)参加性と権威性
内容の責任を誰がコントロールするのか、が二つの性質の違いになります。
編集責任のあり方ですね。

参加型(たとえば食べログ)のコンテンツでは
受け手が単なる読者を超えた存在となり、双方向で好循環のループを生み出す。
いい情報が集まり、情報の信頼度も上がる。
しかし、メディア運営者側から完全な内容のコントロールはできない。

権威型(たとえばクラシカルな雑誌)のコンテンツでは、
編集長が絶対的な権利と影響力を持ち、全てをコントロールできる。
読者にその内容の是非を考えさせたりせず、鵜呑みにさせるような力を持っている。
ただし権威には腐敗リスクあり。

3)リニアとノンリニア
リニア(たとえば映画)
時間軸を頭から最後まで完全に支配するコンテンツ。
長編映画のように、連続した時間消費を受け手に促す

ノンリニア(ほとんどのデジタルコンテンツ)
ソーシャルメディアや検索結果から直接流入し短時間閲覧するコンテンツ。

このように3つの軸でコンテンツの特性を分けましたが、
全体の流れは、 フロー型、ストック型、ノンリニアに傾いていると考えられます。

★ブランド化の必要性
田端氏は、このようなメディアとコンテンツの特性を踏まえ、
かつ携帯やスマホの登場などで
既存の権威的な送り手が受け手に情報を発信するという構図が崩れており、
万人が情報を発信し、それを受け手が自由に選択する時代において、
送り手に必要なのは、その他大勢に埋もれないようにブランド化することではないかと主張します。

確かに星の数ほどあるブログの中でも
本当に読まれているのはごく少数ですね。
もしかしたらいいブログが埋もれているかもしれないですが、
読まれなければ意味がないですし。

このブランド化について必要なことをとてもシンプルにまとめていきます。
権威主義に陥らないまでも、多少の上から目線が受け手には求められていること。
送り手が「社会に貢献できる価値は何か?」を自問し、
その答えを踏まえた上で書いた記事に「私」の個人としての想いが乗らなければならない。
全ては受け手(読者)のためと考え、情報を取りに来た受け手の本来的な(潜在的な)意味は何かを考えること。
また現代においては、受け手がどのテクノロジー(スマホかPCかなど)を使い、
メディアを利用するのかについても配慮して、全体構造を作る(アーキテクトする)必要があるとしています。

★個人型コンテンツ
最後の章では短いながらも個人型コンテンツについての言及もありました。
個人メルマガを例にあげ、
コミュニケーションの手段として課金をとらえ、
送り手に対する受け手の「愛」を表現する方法となっていると指摘します。 

今まででしたら、雑誌にインタビューが掲載されていれば、その雑誌を買っていた、
それと同様に個人メルマガに対してお金を払うようになってきたと。
しかも雑誌は他の情報も抱き合わせで買わねばならないけれど、
個人メルマガは本当に一個人だけのアンバンドリングな状態での情報発信なので、
愛の純度が高いというか、その人だけのためにお金を出しているという気持ちになれます。

そしてこの個人メルマガは、個人完結型ゆえ、
一人でリスクも信頼も影響力も手に入れることになるわけです。
高いリスクを払う分、リターンも大きいのは当たり前ですね(影響力も金銭面でも) 

★感想
毎日PCの前に座り、たくさんの記事を読むわけですが、
コンテンツがどのように作られ、配信されているのかについては
あまり考えたことがありませんでした。

しかし本書を読んで、改めてインターネットを見ると、
メディアを生き抜くためには、
良質のコンテンツを置くだけではダメで、
コンテンツをどう見せて、
どういうタイミングでリリースし、
どういう配置(立ち位置)で見せていくのかを考える
編集者という視点が不可欠だろうという思いを強くしました。

翻訳者ブロガーも簡単に情報発信できる時代ですが、
メディア・メーカーとして生き抜くためにも
メディアについて賢くなり、
コンテンツの特性を見極め、最適化できる編集者の役割も
担わねばならないのだなと思いました。

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