2016年6月14日

オンサイトになりました!

ご無沙汰しております。(毎回同じ出だしてあることを反省)
久しぶりの投稿なのに、「オンサイトで働いています」というご連絡事項ですみません。

4月の下旬からオーストラリアに本拠地のある外資系企業で翻訳者として働いております。
フリーランスになる前に一般企業での勤務経験もあるのですが、今度の会社は何から何まで初めてのことばかりで毎日「へぇ~」の連続です。

小さな会社なので、もちろん「翻訳部」なんてなくて、ひとりぽつーんとしています。
報告する上司がいきなり社長(オーストラリア人)で、1週間に1度の報告MTG以外は完全に放置、放牧されていて、ある意味のびのびできるのはうれしい誤算でしたね。やりたい放題ですわw

今年度は社員教育に力を入れる、ということで、なぜか今、研修と称してシドニーに来ています。これもオンサイトじゃないと堪能できない特典(おいっ)なので、満喫したいと思いま~す。

文化の違いという点では、「ワークライフバランス」をすごく重視するお国柄のおかげか、「残業しない」「バランスをとりなさい」みたいなことをすごく言われます。私はフレックスで朝8時~5時の勤務体制を選んでるのですが、5時の鐘(近所のどこかで本当に鳴る)で離席→帰宅という毎日です。他の社員も「今日は8時-5時働きます」とメール1本でその日の自分の働き方を決められる自由さ。オンサイトの障壁となっていた「学童へのお迎え」問題があっさりクリアできてほっとしています。

シドニーで1日だけ週末遊べたのですが、まぁびっくりするぐらい日曜日もお店が閉まってるし、こういった不便さもなければ、ワークライフバランスなんてとれないよなーと思ったりしています。

もちろん楽をするためにオンサイトに入ったわけではないので、オンサイトでしか学べないことをしっかり吸収していきたいと思います。それと同時にせっかく時間も有意義に使える環境になったので、勉強もこのまま続けていきたいと思っています。翻訳者の皆様とはこれからもセミナー等でご一緒すると思います。引き続きどうぞよろしくお願いしますね!

今後の予定としては・・・
6月18日(土)洋書の森(夏目先生講演)
6月26日(日)辞書・コーパスセミナー
7月31日(日)テンス・アスペクトセミナー
などなど、他にもプライベートな勉強会などの参加も予定しています。

ご一緒するみなさま、どうぞよろしくお願いします!見かけたら声かけてくださいませ~

2015年7月17日

統計祭り(前編)~動画を利用して学習中~


論文を読んだり、訳したりするのに避けて通れない道、それが統計道・・・。分からないことが出てくると、該当部分をネットで検索したり、参考書をつまみ読みしたりしてしのいできたんですが、ここに来て「統計の感覚が染みつくぐらい理解してないとダメ」というアドバイスをいただき、本気でやるか・・・と何度目かの決意に至りました。←えぇ、毎回途中で挫折しております。

ふふふ、今回は挫折せずに楽しんで勉強できていますよ!ということで、統計祭り(前編)としてまとめたいと思います。

★教材

自宅にある統計関連の本を積み上げると、けっこうな量になります。図書館で借りただけのものも含めれば相当な高さになる・・・と思うのですが、そのときはわかった!となるものの、染みつくまでには至らない状況。

そこで、一度今までやったことはすべて忘れて、超初歩の初歩から積み上げてみようと決意し、ネットの無料講座を探すことにしました。日本のiTunesUで検索したところ、レベル別に色々ありましたが、入門から段階的にステップアップできそうな早稲田大学の向後千春先生の講義を見ることにしました。

以下に受講した講義と短い感想を記します。

1)入門統計学 01 
大学内のホームページにもリンクがありますし、iTunesUでも公開されています。
https://itunes.apple.com/us/itunes-u/ru-men-tong-ji-xue-xiang-hou/id651361513?mt=10

<感想>
本当に超超基礎レベル。短めの動画を再生するだけという気楽さもあって、統計アレルギーを起こさずにあっという間に受講終了。とっかかりとしてはすごくいいと思います。先生も親しみやすいです。残念なのが、講義後に行う自習課題のサンプルデータをDLできないところ。
講義を聴いて、Excelを使って簡単な関数をやってみると、理解がさらに深まりそうなだけに残念でした。

2)統計学 I 
https://itunes.apple.com/us/itunes-u/tong-ji-xuei-xiang-hou-qian/id651359482?mt=10

<感想>
「差があるかないか」について調べる手法を学びました。(χ二乗検定、t検定、分散分析)
私みたいに苦手意識がない方はここからスタートで十分だと思います。
この講義用にテキストが発売されています。テキストを読んで、講義を見て、自分でExcel計算をやってみると「ぼんやり」していた理解が「かっちり」確かになって、すごくよかったです。

テキストはこちら



おまけ
3)統計学入門 01
http://course-channel.waseda.jp/subject/contents/1100001110/01/11#

<感想>
同じ早稲田の西郷 浩先生の講義。こちらは感覚を磨くというより、きっちりと知識を積み上げていきましょうというタイプ。本で読んだことがあるような内容なんですが、人が話しているのを聞くと理解が深まる気がしますし、動画の授業っていいなと思いました。サンプルデータもDLでき、先生と一緒に操作します。 08.「第3回講義 第1章 代表値」から医薬に近い話しが出てきますので、お急ぎの方はここから視聴でもよいかも。

★自分でやってみる

これまでの勉強と何が大きく違うかというと、やっぱり自分でやってみる、に尽きると思います。
先生が動画で話されていることは、何度もテキストで読んでますし、なんとなくわかってるよ・・・という事項ばかりなんです。でも、「さぁ、実際にExcelに数値を入れて、数式を書いて計算してみましょう」と言われ、実際に「えっと、このセルとこのセルの差を二乗して、それからルートかけるんだから・・・」と頭を使うとテキストを眺めるだけより、動画を見るだけよりもずっと統計感覚が身につきやすい気がします。汗を流してわかることもあるというか。

テキストには使用するExcel関数や数式がきちんと書かれているので、途中で「あれ?どうやるんだっけ?」となっても、戻って確認すれば難なくわかるしくみも効率がよく、学習者の負担が軽くていいなと思いました。

世の中には「数式を使わない」統計学の本もたくさんありますし、数学嫌いの私には大変ありがたいのですが、そもそも数字の話しをしているので、やっぱり言葉だけで説明されても完全に理解するのは難しいですよね。その点で、このExcelでやってみる方式は、数式ほど難しくないけど、数字をいじってみて出てきた数字をその場で検証できるので理解しやすいように思います。

★今後

さて、統計の入り口をしっかり勉強し、アレルギーがなくなったところで、今後について。
同じ向後先生の統計学IIで、回帰分析と因子分析を勉強します。その上で、今度は実際の論文等に書かれた内容を解釈できるように、生物統計についてもう少し特化して勉強していきたいという野望が。このアタリはまた後編としてお伝えできればいいなと思っています。がんばりまーす!

統計学IIのテキストはこちら。今度はアイスクリーム屋さんが舞台に。こちらから読み始めても大丈夫ですよ!



2015年6月22日

「英文読解力強化セミナー~誤読をなくし、誤訳を防ぐ~」セミナーに参加してきました

先週末、翻訳学校のサンフレアさんで開催された「英文読解力強化セミナー~誤読をなくし、誤訳を防ぐ~」(4時間、単発)に参加してきました。講師は翻訳フォーラムでもおなじみの深井 裕美子先生。
 
4時間の講義のうち、前半は調べ物、後半は英文の構造が主なテーマ。より細かく見た後は、すこし引いて英文を読んでみましょう、という内容で、先生の鋭い質問に我々がワタワタと答えて講義が進行していきます。この先生の質問に「ワタワタする」というのが最大の胆だったように思います。出席された方、いかがでしたか?人から言われた注意よりも、自分で気づいたことの方が発展性があるというか、次への気づきが誘発されるというか。4時間の講義のために2つの課題を訳して臨んだのですが、1つめの課題文で先生の質問に答えながら、「やばい、これって課題2のあれはダメだったということじゃん」と気づいたりして、心が散り散りに。先生の質問はもちろん私個人に向けられるものばかりではなくて、教室の誰かに向けたものでもあるんですが、それでも冷や汗は流れるわけで・・・。

具体的に勉強になった内容を挙げるときりがないのですが、一番の収穫を挙げると、自分が陥りやすい罠がはっきりしたことだと思います。英文にぐっと寄って、書かれた人物や背景などを丹念に調べることはもちろん大事です。というか、調べないとわからないことが多すぎて(それはそれで反省すべきですが)、自分の仕事が成立しないという面もあります。私は調べ物をたくさんし、その背景等様々なことがわかってから英文に戻ってくると、すごく近視的に寄りすぎてしまって、出す訳が「まとめ訳」みたいになりがちなんですよね。調べた成果が並んでしまうというか。調べた内容は「調べ物」として頭の中心から少し距離をおいておかないと、中心にくるべき原文から離れてしまって、忠実な訳にならなくなってしまうことが多い。英文を読んで頭に浮かぶイメージに「私の調べ物」バイアスが出てしまうことに注意しようと思いました。

別の言い方をすれば、調べた内容の取捨選択も大事ということかもしれません。調べたものを自分の中で取捨選択して、この情報は生かそう、これは必要ないと判断することも翻訳のテクニックとして必要だなと思いました。「まとめ訳」みたいになってしまうのは、だいたい自分が調べた内容を全部入れようとしちゃうからなのかもしれないなと。そのあたりのコツも講義でわかってきたので、今後に活用できそうです。

後半の英文を構造を意識して読む、というのはちょうど自分でも意識していた点なので、「おぉ、やっぱりそれでいいのか!」と嬉しくなりました。去年お引き受けしたライティングの仕事のからみでパラグラフライティングをおさらいしたおかげだったんですが、改めてあの仕事(大変だったけど)やってよかった・・・と思いました。きっと医薬やバイオ系などの論文を訳される方はおなじみだと思うのですが、センテンス毎にどんな役割があるのかを意識して読む、少し引いて上から俯瞰する気持で英文を読むと違うよ、という内容をお話いただきました。自習の参考書のご紹介もあって、今後に繋がる内容でした。

私の次の課題としては、論文のように構造がわかりやすいもの以外でも、きちんと原文を俯瞰して読むようにすること。そして構造がわかったとして、それをどう日本語に落としていくのか。英文の持っている流れ、役割(主題なのか詳細なのか例示なのかとか)を感じられる日本語にどうやってしていくのか・・・。「まとめ訳」と合わせて克服していきたいです。ひとつのセミナーを受講すると、複数の課題が見つかるのは嬉しいような悲しいような(いや、やっぱり嬉しいんですが)。修行の道は続きます。

最後にあらためまして深井先生に4時間にもわたる素晴らしい講義の御礼を申し上げます。講義終了直後には整理できていない部分も多くて、すぐにきちんと感想を申し上げられなかったのですが、こうして書いてみると、自分の欠点を把握し、気づきをいただいたことで次の課題が見えてくるという深い講義をいただいたんだなと改めて思いました。どうもありがとうございました。

2015年4月2日

翻訳家小尾芙佐氏の講演会に行ってきました

ご無沙汰です…と毎回書き始めるのも今度こそ最後に…

Twitterでアルクの佐藤直樹さんのツイートを拝見し、ベストセラー小説、『アルジャーノンに花束を』の訳者でいらっしゃる小尾芙佐氏の講演会に行ってきました。いつも貴重な情報ありがとうございます!
今回もメモなしですし、ちょっと時間が経ってしまったのですが、とても面白い話しをうかがったので備忘録的に記しておこうと思います。

83歳のお誕生日を迎える小尾氏ですが、背筋がしっかりと伸びて、マイクなしでも大丈夫じゃないかと思えるほど通る声でした。2時間ほどの講演で、前半は生い立ちから翻訳を始めたあたりまでをご家族のエピソードを交えながら、後半はアルジャーノンの秘話から最近手がけている古典の翻訳まで、翻訳にまつわるお話をいただきました。

★生い立ち


司会進行をお嬢様がなさり、当時の社会の様子を振り返りつつ、家族写真などを拝見しながら楽しいお話に耳を傾けました。

1枚目のお写真は小尾氏が5歳ぐらいのもの。探偵小説家になりたかったお父さんの影響で、家中に探偵小説が溢れかえり、身体も弱かった小尾氏は、こどもの頃から探偵小説の古典を読み漁っていたそう。時代は太平洋戦争の真っ只中で、疎開も経験。食べ物がないことよりも、結核の療養を理由に読書を禁じられ、活字に飢えていたことが辛かったというエピソードが印象的でした。

戦後、津田塾大学の英文学に進学するものの、英語が好きだったわけでもなく、入学したら周りはみんな勉強熱心でびっくりし、『高慢と偏見』の授業で課題とされた英文を読むも面白くない…と思ってしまったとか。尊敬する翻訳者さんでもそんなことが!と親近感が湧いてきます(笑)。

大学在学中は、フランス文学や太宰治などの日本文学を読みあさり、イタリアやフランス映画を名画座で見まくり、俳優座などに通い詰めて戯曲三昧…という生活に。色々な経験をしながらも、どこかで漠然と小説を書くといった創作はできないけど、いつか翻訳はやるかもしれないなと思っていたとか。天命というか、自分の進むべき道が見えていたのでしょうか。

卒業を前にして、同級生は続々と商社やスチュワーデスなど就職先が決まっていく中、求人票を見てもピンとくるものがなく、そのままお父様の事業を手伝うことに。しかし、しばらくして雑誌『それいゆ』の編集者の求人広告を新聞で目にし、学生時代から作文の成績がよかったし、編集者なら面白そうだと思って応募したところ、千人もの応募者からみごとに合格。この辺りは向田邦子が映画雑誌の編集者になった経緯と似ている気がします。

雑誌『それいゆ』編集部は体調を崩して1年ほどで退社するのですが、この編集部時代に早川書房の編集者であった福島正実氏と知り合います。早川書房のミステリーマガジン誌を愛読していた小尾氏は、福島氏にミステリーの翻訳をしたいと持ちかけたところ、ちょうど福島氏がSFマガジンの創刊に奔走していたところだったこともあり、SFの短編小説の翻訳を打診されます。これがデビューとなり、キャリアを積み重ねていきます。人生のターニングポイントに人と人とのご縁ってやっぱりあるものですね。

翻訳を始めたすぐの頃に、慶應大学で経済を教えていたご主人と出逢い、結婚。お嬢さんを出産。結婚、出産をしてもずっと仕事はやめずに続けていますが、それはご主人の翻訳と仕事に対する深い理解と、同居していたお姑さんの理解とサポートがあったからのようです。

お姑さんも働く女性であったため、仕事はできるけどお裁縫のできないお嫁さんに、「あなたにはあなたの仕事がある。お裁縫はそのプロに頼んだらいいじゃない?」なんて言うような方だったとか。会場でも思わず驚きの声が上がっていました。

★『アルジャーノンに花束を』


40才の頃、『アルジャーノンに花束を』を1年以上かけて訳します。日本で大ベストセラーになり、ドラマ化もされましたね。先天的な障害で幼児程度の知能しかもたないチャーリーが、外科手術を受けることで知能が驚くほど向上するが、その後また知能が・・・という物語。

主人公のチャーリーが自分の「経過報告」を記すという独白形式で進んでいきます。この物語が多くの人の心に深く届いたのは、チャーリーの筆運びに説得力があったからではないでしょうか。幼児程度の知能しか持っていない時期に書かれた報告、高い知能を得た時の報告・・・そして徐々に失われていく知能・・・。各段階での知能レベルがとても自然に表現されているため、物語の世界にぐっと入り込めるのではないかと思います。特に知能レベルが低い時の独白をどうやったらこんな風に訳せるんだろうと思っていたのですが、今回の講演でその秘密が明らかになりました。

実は、著者であるダニエル・キイス氏も、小尾氏がどのようにこの幼児レベルの知能を訳し、表現しているのか気にされていたようで、キイス氏の来日時には挨拶もそこそこに「どうやって訳しているんだ?」と聞かれたとか。小尾氏がとった方法は、同じ程度の知能障害があったとされる画家の山下清が記した『山下清の放浪日記』を読んで研究し、文法やつづりの間違え方に一定の法則があることをつかみ、それを忠実に訳文に反映させていくというものでした。

この方法をお話すると、なんとキイス氏もこの物語を執筆するときに、同じ知能レベルの人が書いた文章を参考に、共通する法則をみつけ、それをチャーリーの筆に落とし込んだそう!偶然ではありますが、原著者と訳者が同じ方法を採用していたんですね。このお話しを聞いて、これ以上原文に忠実に訳すことってできないんじゃないかなと思い、鳥肌が立ってしまいました。



この春に始まる新しいテレビドラマに合わせて出版された文庫版の巻末には、小尾氏が記したキイス氏の追悼文もついているそうですので、未読の方はぜひお手にとってみてください。

                     

★翻訳について

講演のおしまいに、翻訳についての心構えについてのお話がありました。小尾氏は原文に忠実であるを信条にしていて、まず原文の理解が大切だと。どんなにがんばっても、その文化がわからないと原文を理解できないことはあるので、周囲にいる留学生やネイティブの知人、海外に住んでいる同級生などに色々質問し、疑問を解決していくそうです。

そして次に日本語。これは日本人の作家が書いた作品をたくさん読むことが大切だと強調されていました。読むべき作家として小尾氏が大学時代に読んでいた作家の名前が多く挙がっているのを聞いて、若い頃に好奇心の赴くままに吸収したことが役に立つんだなぁと思いました。日本語は文体を把握することが大事で、この文章は日本人作家でいえば誰の文体がいいのか?と考えて決める過程の重要性を強調していました。具体的に文体を決めるというのは、時代背景や社会構造も知らないとできないし、人物が置かれた状況・環境はどうなのかなど、抑えるべきポイントがあり、日本語に対するセンスを学びとることにつながる、と。


具体例を挙げると、小尾氏が手がけた『高慢と偏見』では、当時の社会をよく研究し、Mr.DarcyとElizabethとの置かれた地位の差などを考慮して、既訳にはない言葉使いを選んだとおっしゃっていました。




他にもSFを訳す楽しさや優秀な編集者と仕事ができる喜びなど、興味深いお話もたくさんいただいた2時間。これまで一度も講演をしたことがないという小尾氏の貴重なお話を楽しめました。帰りにサイン会もあり、ちゃっかり持参した書籍にサインをいただいてきました!

2014年10月5日

厚生労働省が「医療通訳テキスト」と「外国人向け多言語説明資料」を発表。無料でダウンロードできます

今回は、医薬翻訳ではなく医療通訳の話題をお届けします。

在留外国人や外国人観光客が増え、日本の医療を受ける機会も増加していること、そして2020年の東京オリンピックを見据えて、厚労省が外国人患者の受け入れ環境整備を『医療機関における外国人患者受入れ環境整備事業』として推進しています。

その一環として、医療通訳者の育成にも力が注がれているのは新聞や通訳・翻訳雑誌でも特集が組まれるなどしていますので、ご存じの方も多いかと思います。
そしてついに、平成25年度補助金事業として、医療通訳育成カリキュラム・テキストの作成が行われ、先日、厚労省のサイトから無料でダウンロードができるようになりました!

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056944.html

このテキストは、医療に関する一定のレベル以上の知識および通訳技術を修得し、医療通訳者として機能する専門職を育成するために行うべき研修や指導要領等についてまとめてあり、全部で570ページもある大作。テキストの編纂を担当した多文化共生センターきょうとでは、12月にこのテキストを基にした講習会を東京で開催する予定があるそうです(詳細は未発表)。

育成カリキュラムの中身を見てみましょう。
まず研修の受講資格は原則20歳以上。対象言語において高度な会話や議論ができること。母語や対象言語の国や地域における習慣、社会常識を理解していることなどが挙げられています。

医療通訳に必要な知識、能力とスキル、倫理、対応力を身につけるための研修(「医療通訳研修Ⅰ」、「医療通訳研修Ⅱ」)を行うのですが、具体的には、1クラス90分のクラスを50クラス以上の研修時間が必要(うち通訳実技は最低8クラス以上)。クラスも少人数(10名程度)と規定されています。この研修後にさらに実習(医療機関等での通訳実務)を25クラス以上(この内病院内の実習は20クラスほど)が義務づけられています。

研修を修了するためには、9割以上の出席と課題提出などの他に能力試験に合格する必要があります。この能力試験は「医療通訳に必要な知識、能力とスキル、倫理についての理
解度、習得度を測るために口頭、あるいは筆記、模擬通訳を通じて評価する」と書いてあるので、実技試験もきっとあるんですね。

そして通訳経験者に対する能力審査(バリデーション)というのもあり、2年以内に40時間程度の通訳実務経験があり、この育成カリキュラムの研修内容と同等レベルの研修を受けている人を対象にしています。十分知識、能力等が備わっているとみなされると、研修が一部免除されますが、経験や能力に関係なく受講しなくてはならない「医療通訳者の役割」といった単元もあるそうです。

研修のモデルプランでは、研修を75時間、実習を37.5時間の合わせて112.5時間を試算していますね。この時間をかけて学ぶべき事項がテキストにまとめてあるのか・・と思うと、570ページの大作も納得できますねー。

さて、続いてテキストの中身を覗いてみましょう。
まず巻頭に「人体各器官名称」があり、解剖イラストに日本語(かなふり)で名称が記載されています。これは翻訳でも使えそうですね。
人体各器官名称の一部。対訳ではないですが必要最低限を押さえられて読みやすいですね

そして本題に入り、医療通訳者の役割、倫理から身体の仕組み、検査、薬、感染症の基礎知識などの医学知識、さらに日本の医療制度や文化的背景、そして通訳技術についても書かれています。最後には実習に役立つロールプレイング用の模擬通訳シナリオもあって、机上の理論から実践まで幅広くカバー。

医学的な知識といっても、MRIとは何かなど本当に簡単にまとめてあるだけなので、医薬翻訳者の実務ではあまり役に立たないかもしれませんが、初学者の学習用や患者さん向けの翻訳などで参考になるかもしれませんね。

ざーっと読んでみたところ、とても簡単な日本語でまとまっているので、医療通訳を目指すなら、このテキストを自分で訳してみる、というのも自習の仕方としていいんじゃないかなって思いました。


この医療通訳テキストと一緒に、「外国人向け多言語説明資料」もダウンロードできます。これは外国人患者に対応するときに必要となる、問診票、説明文書、コミュニケーションツールなどの文書が日本語と複数言語で対訳になっているもの。

これは翻訳する時にも活用できそうですよね。1枚で日英併記になっている文書と、日本語版、外国語版とわかれているものと両方あります。

日英併記の問診票と感染予防の啓蒙リーフレットの英語版



医療通訳の育成研修はこれから各地で始まるのでしょうか。
地方の医療通訳不足の声も聞こえてきますし、できたらWebでの研修など多くの人がアクセスできる環境の整備も期待したいですね!

2014年9月30日

情報誌『Amelia』10月号 新薬開発特集にちょこっと登場しています!

お知らせです!

翻訳者ネットワーク「アメリア」さんの情報誌『Amelia』10月号の“スポット分析 新薬開発”という特集に少しだけ登場いたしました!
モザイクかけました。 自分の名前を囲むのはちょっと恥ずかしいですね・・・

この新薬開発特集では、まず冒頭で全体の流れを押さえ、その過程に発生する翻訳が求められる文書の簡単な解説があり、全体像がつかみやすい構成になっています。

私はそれぞれの文書の特徴を実務レベルで感じたことをお話させていただきました。案件によっても、翻訳者さんによっても、感じ方は違うかなと思いますが、ご参考になればと思います。

他にもアメリア会員さんのメディカル翻訳者デビューまでの道のりが書かれていたり、エージェントさんのお話も掲載されています。

会員限定の情報誌なのでリンクは貼れませんが、アメリア会員の方はよろしければチェックしてみてくださいね!

2014年9月20日

(訂正)AutoHotKeyの人気にようやく乗ってみました!(既存スクリプトの導入方法編)

私のPCリテラシーはかなり低く、一応IT企業に勤めていた経験もあるのですが、
いつまでも「PCの中にはこびとさんが住んでいて、お願いするとあれやこれややってくれる」という概念から抜け出せません。

そのこびとさんの中でも、昨今話題の「AutoHotKey」は、OSに軸足があって、フットワークが軽いっと驚きました。自分の理解定着も狙いつつ、荒いまとめをしてみます。

そもそも「AutoHotKey」って何なの?みたいな難しい話しはできないので、どうぞしんハムさん(@SHINHAM3)のTRA Caféさんの特集記事をお読みください。ほほーとなりました。
AutoHotKeyについて
AutoHotKeyを正しく理解するために


※訂正 
以下のステップ1,2について、AHKを使って書かれたプログラムじゃないというご指摘がありまして、調査しましたところ、かんざしは私の思い違いであり、Cliborについても間違いが濃厚・・ということで、申し訳ございません。それぞれのプログラムは便利ですよ、というリンクだけ本文末尾に残し、その他の情報は削除させていただきます。ご迷惑をおかけします。



さて、ステップ3として、自作もしくはどなたかが作ってくださったスクリプトを導入する方法について、以下にまとめますね。あったらいいながある!の世界へ突入です。

1)まずはAutoHotKeyをダウンロード
プログラムを書くための環境をダウンロードします。
ここから
インストーラーを起動してインストール



2)デスクトップ上で右クリックをして、[新規作成]→[AutoHotKey Script]を選択。

これで、スクリプトを書くファイルアイコンがデスクトップ上で作成されます。エディタで開くと書き込めるようになります。

お料理番組形式で、このプログラムを書く部分は割愛です。いただいたスクリプトをコピペして保存するか、拡張子.ahk形式でファイルをいただいた場合は、そのファイルを元に次の手順を続けます。

コピペしたスクリプトを保存する場合は、文字コードを UTF-8 と指定することに注意


3)できあがったテキストをコンパイルします。
アイコンを右クリックしてメニューから[Compile Script]を選択。
コンパイルすると、いわゆる実行ファイルになるので、AutoHotKeyがインストールされていないマシンでも動けるようになるらしいです。詳しいことはこちらのページに。


新規に拡張子.exeのアイコンがデスクトップ上に作成されますので、これをクリックするとプログラムが走ることになります。


あとは自分が設定した操作方法で思いのままに操ってください!



いかがでしょうか?
なんだかAutoHotKeyの波に乗り遅れた・・・とか、
せっかくみなさんが好意で公開してくれているスクリプトをどうやって自分のマシンに搭載したらいいんだろうか・・とか
もやもやしている方、設定はすごく簡単なので、ぜひトライしてみてくださいね!

・・・という私も、今朝、どうしても取り入れたいスクリプトを発見し、作成者の方に質問しながらようやく設定できるようになりました。私にもできた!といううれしさに浸っております・・・


ステップ1:「かんざし」/ステップ2:「Clibor」の導入